10月
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Posted on 16-10-2013
Filed Under (未分類) by toda

9月から10月にかけて(10月ももう半月も過ぎてしまったが)、蓼科へ行き、山形へも行った。蓼科は収穫期の葡萄畑を見に(山の紅葉も見に)、山形は「山形国際ドキュメンタリー映画祭」に。

蓼科の宿のベランダのガラス戸に茶色の大きな蛾が止まっているのを見つけて撮ったのが新しい見出しの写真。これはクスサンというヤママユガ科の蛾で、大きくて模様が派手で目立つ。

クスサンは「楠蚕」の意味だが、クスノキをはじめケヤキやナラ、クヌギ、クリなどいろいろな樹の葉を食べて育つクスサンの幼虫は別名シラガタロウと愛称で呼ばれることもある、白い毛に覆われた毛虫で林の中で目立つ存在だ。

ヤママユガ科には大きな美しい蛾が多い。翅を拡げると30センチにもなる巨大なヨナクニサンや夏の夜明りに集まるオオミズアオも同じ仲間だ。蛾や蛾の幼虫(多くは毛虫)は嫌われているけど、蝶とは違った独特の翅の模様が美しい。

 翅にくっきりと見える丸い目玉のような模様が特徴だが、これ、天敵から身を守る擬態の一種らしい。蛾の天敵とは主として鳥だろうが、ふくろうの目玉のように見えるこの模様が鳥たちを驚かせるのか。

奇数年に一年おきに開催される山形国際ドキュメンタリー映画祭はいつも10月初旬、今年は第25回目の開催だという。コンペ参加作品、アジアや日本の新作ドキュメンタリー映画の上映のほかに、今年は「未来の記憶のために」と題されたクリス・マルケルの作品の特集上映が企画されていた。クリス・マルケルは2012年7月に(つまりヤマガタの24回目と25回目の間の年に)亡くなった。91歳、パリの自宅で。

『ラ・ジュテ』や『サン・ソレイユ』を見ているだけの僕にとっては、クリス・マルケルの60年におよぶ制作活動の全貌が紹介されるという貴重な機会だった。本当は他の映画はさておき、40本以上のクリス・マルケルの作品を見続けていたいものだと思ったけど、そうもいかない。それでも、1950年代の『北京の日曜日』や『シベリアからの手紙』など、初期の作品を何本も見ることが出来たのは収穫だった。

今回のヤマガタでの大きな目的は纐纈あや監督の『ある精肉店の話』と朴思柔(パク・サユ)監督の『60万回のトライ』を見ることだった。そして2本ともすばらしいできばえで見ごたえがあり、感動し安心もした。両方とも応援しているスタッフや親しい友人たちが関わった作品だったので、よかったなぁ・・・というのが実感。

このブログを読んでくれる数少ない人びとにはぜひ見てほしいので、感動や安心の内容を詳しくは書かないけど、『ある精肉店のはなし』は飼育している牛を自分たちの手で屠畜解体する肉屋さん家族のドキュメンタリーで、息をのむようなすばらしい場面に圧倒される。11月29日からポレポレ東中野で公開するそうだ。11月29日というのは「いい肉」の日なのだ。

『60万回のトライ』は大阪朝鮮高校ラグビー部のメンバーの3年間を描いたドキュメンタリー。朝鮮高校のラグビーが強いのは知られているが、この映画からほとばしる面白さは、僕には、これまで経験したことのない種類の面白さだった。笑いながら、映画の途中でそのことに気がついた。これはなんだろう、と。

こちらも来年の春には公開される予定だが、僕が映画から感じた、経験したことのない印象の正体を確認したいものだ。