1月
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Posted on 18-01-2013
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きのう(1/17)のNHKテレビ『クローズアップ現代』では、木下恵介を取り上げていた。木下恵介再評価の機運が高まっているという内容で、「弱く、美しき者たちへ~映画監督・木下恵介」というようなタイトルで放送された。今年度のカンヌとベネチアの両方の映画祭で木下作品が招待上映されたそうだけど、木下作品が世界的に再評価されているらしい。木下恵介は日本映画の歴史の中では巨匠中の巨匠だが、ほぼ同時代の黒沢明とは違って、世界的な評価とは無縁だったかもしれない。また、おなじ松竹大船で仕事をした小津のように、世界の映画監督に大きな影響を与えたということもなかった。

黒沢映画が強者を描いたものという意味では、木下作品は弱いものの映画だ。また、小津作品が庶民の暮らしの中の小さなドラマに人間描写を極めたものだったのに対して、木下作品は戦後の社会の問題に目を向けた「社会派」的な視点を持っていた。そして、木下映画は実はとても難しい内容のものが多い、というのが僕の感想だ。

僕は少年時代に日本映画に目覚めたが、最初に見た木下映画は『二十四の瞳』か『野菊の如き君なりき』だったと思う。どっちが先だったか覚えていないが、中学生の僕はどちらにも感激して映画少年になっていくのだ。しかし、あとで見返して考えると、当時の僕は2本の映画の伝えようとする本当のところは理解していなかったと思う。木下恵介は社会的なテーマを取り上げるが、ストレートには描かない。描かれているのは戦争や貧困、差別や因習といった圧倒的な力に踏みにじられる庶民、弱者のまだるっこしいような弱い姿だ。それらを通して木下恵介のメッセージを受け入れるのは高度な鑑賞眼が必要だ。60年前の中学生には理解できたかどうか心もとない(今の中学生には分かるだろうが)。

きのうの番組のスタジオには山田太一さんが出演していた。山田さんは脚本家だが、松竹大船出身で木下恵介監督の助監督の経験がある人だ。木下監督は師匠ということになるのだろう。その山田太一さんの話がとてもよかった。弱者への視点ということを、きちっと語っていた。黒沢は強者の映画、木下は弱者の映画・・・、弱者への視線がクローズアップされる時代であるのは間違いない。

1月14日は朝9時ごろから、終日雪が降って、東京でもかなり積もった。一日中絶え間なく雪が降るというのは珍しい。子どものときは雪が降ると何となく嬉しかったものだが、あれは何故だろう。あたりの風景がいつもとは違って見えるだけで嬉しいような感じなのだ。外出の予定もあったが、「日和見主義」を決め込んで、終日家にいた。外へ出て写真を撮る。写真を撮るというのも、子どものときの嬉しいような感じと通じているか・・・。東京でも厳冬期の雪はなかなか消えずにいつまでも道路を雪道にしてしまう。みんな滑らないように気をつけて歩いている。